【留学形態別】”大学”での留学(正規留学)を選ぶメリット/デメリット

はじめに

英語学習者のみなさん
こんにちは

このサイトに来てくださるみなさんの中には留学を考えている人も少なくないと思います。
一口に留学と言っても、多くの種類が存在します。
代表的なのは
・語学学校
・4年制大学(正規留学)
・ワーホリ
もちろんこれだけではなく、バリスタ留学、ボランティア留学に代表されるような「アクティビティ留学」もかなり増えてきています。

そんな中でどういう留学にしようかな…と留学形態に迷う方もいらっしゃると思います。

「留学形態別シリーズ」はそんな皆さんの悩みを解決するコンテンツになっていますので、ぜひ読んでみてください。
そして当記事は、正規留学についてになります。

正規留学とは

正規留学とは四年制の大学や大学院へ入学し、現地の学生を同じように学位を取得するスタイルの留学のことです。

一般的に日本の大学は「入るのが難しく、出るのは簡単」と言われますが、海外の大学は逆です。「入るのは比較的簡単で、出るのは難しい」と言われています。

現地の学生ですら難しいことを、外国語で達成するということなので、どれほど難しい事かはイメージできると思います。

英語を学ぶのではなく、”英語で”学ぶわけですから、そもそも英語を話せるようになることだけがゴールではないため、明確な目的意識と長期間にわたる海外での生活に耐える強い意志が必要です。

その代わり完遂した後に残る財産は一生ものです。

それでは具体的にどのような特徴があるか見ていきましょう。

留学費用

大学の正規留学は語学学校やワーキングホリデーよりも費用がかかる

語学留学は自由度が高いため、予算に合わせて留学先や滞在期間、学校のカリキュラムを選択できます。ワーキングホリデーの場合は、学校に通う必要はなく、現地で1年間働くことで滞在中の費用を補うことができます。

一方、大学の正規留学(以下、大学留学という)の場合は、留学の目的が学位取得なので長期滞在です。コミュニティ・カレッジ(アメリカの2年制大学)でも卒業までに2年程かかります。

■大学の年間学費
アメリカ(コミュニティ・カレッジを含む):50~300万
*名門校は300万以上
イギリス:100~200万
*医療系は200万以上

 アメリカは大学によって学費に大きな差があり、名門校であればある程学費が一気に高くなる傾向にあります。
イギリスは学部によって学費が違い、医療系、理系、文系の順に学費が高くなります。

 上記の年間の学費が数年、長ければ4年間かかるので、大学留学、語学留学、ワーキングホリデーの中でいえば一番費用がかかると言えるでしょう。

留学先でアルバイトをする

日本では大学生が生活費を補うためにアルバイトをすることは一般的ですが、留学の場合、働くことができる国とできない国があるので注意が必要です。

働くことができる国でも週単位で就労時間に制限があります。アメリカでは、大学に通う留学生の就労は基本的に禁止されています。
例外として大学のキャンパス内であればアルバイトが許可されているので、学校内のカフェやブックストアなどで働くチャンスはあります。

また、日本語クラスがある大学では、日本語のチューターを募集している事もあるので、友達作りをしながらお金を稼げる点でおすすめです。

イギリスでは就労が可能ですが、週20時間という制限があるので、あくまで生活費を補う程度と考えた方が良いでしょう。

日本の学生奨学金に申し込む

返済ありの奨学金で日本の大学に通っている学生は多いですが、実は大学が海外であってもこの奨学金は適用されます。

卒業後に返済は必要ですが、最も代表的な日本学生支援機構の海外留学支援制度(学部学位取得型)は利子が低いので、筆者も利用しました。
毎月支給されるので留学期間中の生活が安定します。

何よりも、生活費の心配をせずに大学の勉強に集中できるというメリットが大きいので、興味のある方はぜひ調べてみてください。

アメリカ人も実はやっている編入学という名の節約術

アメリカには4年制大学の他に2年制の公立大学が存在し、この2年制の大学をコミュニティ・カレッジと呼びます。
もともとは学びたい人が誰で学べるようにと設立された教育機関なので、4年制大学よりも学費が安く、あえて入学の難易度も低く設定されています。

コミュニティ・カレッジが人気の理由が、4年制大学への編入システムの存在にあります。
これを利用することにより、2年間単位を取得し、4年制大学の3年生として編入することが可能ですので、成績次第では世界屈指の名門校への編入学も可能です。

4年制の大学に4年間通うよりも学費の節約になりますし、コミュニティ・カレッジにいる2年間で進学先と専攻をじっくり考えることもできるので、メリットは多いといえますね。

それぞれ4年制大学と学部によって出願するまでに取らなければならない単位が違いますが、多くの学生が2年間計画的に単位を取り、複数の大学・学部に出願します。
筆者は2年生まで専攻を悩んだあげく、国際関係学部と心理学部に出願しました。

アメリカの大学費用は年々高くなる傾向にあり、この制度を利用している現地の学生も多いです。
個人的な意見になりますが、大学の4年間で2つの町で生活したこと、2つの大学のキャンパスで勉強できたことは貴重な経験となりました。
州をまたいだ編入学も可能なので、複数の地域で暮らしてみたい方におすすめです。

一方イギリスでは、1年生から大学の専攻で決められたカリキュラムに沿って単位を取っていくので、編入は一般的ではないです。
在学途中で専攻を変更するのは難しく、大学入学前に既に専攻を決めている必要があります。

学生寮やルームシェアで生活費を抑える

筆者はロサンゼルスの2LDKアパートを4人でルームシェアしたことがありますが、これが一番の節約になりました。

アパートの家賃は1800(日本円で約19万円)ドルで、これを同居人で分ける形をとっていました。
私はリビングの一角をカーテンで仕切って暮らすことで、一番安い月350ドル(日本円で約3万8千円)でした。
ロサンゼルスはアメリカで最も家賃が高い都市のトップ5に入るので、月350ドルという家賃は破格です。

他にも家賃が安く、手っ取り早く生活の拠点を確保する方法の一つは、学生寮に住むことです。

友人はUCLA(カリフォルニア州にある名門校)に隣接する学生寮に住んでいましたが、8畳程の部屋に4人で生活していました。
木製の2段ベッドに古びた机が4つあり、トイレ、バス、キッチンはフロアで共用です。名
門校に通う秀才たちもこのような環境で生活しているわけですが、大学図書館が夜遅くまで開いていて外で勉強する環境が整っているので、寮やアパートは単に「シャワーを浴びて寝る場所」と捉えている学生は多いです。

貧乏留学生活も、社会人になって振り返ると良い思い出になりますよ。

学習内容

英語ができるのは当たり前の世界

英語を第2言語とする学生が、英語で英語を学ぶのが語学留学です。一方、大学留学は、現地の学生に混じって全ての教科を英語で履修する点が語学留学とは大きく違います。

語学留学は期間も目標も自分で決められますが、大学留学の場合は「現地の大学を卒業して学位を取得する」という目標があるのでかなり難易度が上がります。

高校まで日本語で学んでいた数学や歴史を英語で履修するわけですから、苦労もありますが英語力が4年間で飛躍的に上がります。
もちろん個人差はありますが、4年間の大学留学を終える頃には、特段準備をしなくともTOEIC900点以上取れる学生は多いです。

しっかり学校の勉強をしていれば英語力は付いてきます。
自分が興味がある分野の学位と英語力を両方手に入れることができる手段なので、英語も習得したいけれど他にも勉強したいことがある、という方は大学留学がおすすめです。

自由時間

自由に使える時間が少ない

語学留学は学校によって午前のみ、午後のみのカリキュラムの選択も可能なので、自由時間の確保がしやすいです。そしてワーキングホリデーは、学校に通う必要がなく、就業時間以外は自由時間になります。
何よりワーキングホリデーという名の通り、長期休暇の目的でワーキングホリデービザを取得する若者が多いので自由時間は一番確保しやすいかもしれません。

一方、前述にもありましたが、大学留学は高校まで日本語で学んでいたような教科を英語で学びます。
授業について行くために膨大な勉強時間が必要です。

もちろん大学を卒業するための必修科目もあり、好きな科目だけを履修していれば良いわけでもないです。
筆者が進学した大学でも必修科目が多く、中でもアメリカの歴史のクラスでかなり苦労しました。
日本で育ったのでアメリカの歴史の予備知識がほとんどなかったため、試験勉強にかなりの時間を費やすことになってしまったのです。

そして、詳しくはこの後説明しますが、英語圏の大学生は課外活動を活発に行います。
いかに効率良く勉強と課外活動の両立をするかが大事なので、普段の生活の中で自由時間が一番少ないのが大学留学といえます。

大学ならではの課外活動で将来に備える

語学留学は、授業が終わるとクラスメートとショッピングをしたりレストランで食事をしたりして時間を過ごします。
ワーキングホリデーも同じく、アルバイトが終わった後は現地の若者と同じように時間を過ごすことができます。
大学留学生であっても同じく経験できることですが、大学生ならではの機会がある点が語学留学やワーキングホリデーと違います。

コミュニティ・カレッジでの2年間の成績次第で4年制の大学への編入学ができることは前述しましたが、大学の合否は2年間の成績だけでなく、課外活動次第も大切になっていきます。
むしろ課外活動せずに名門大学へは編入学できないので、4年制大学への進学を目指している学生は、「サークル活動」、「ボランティア」、「インターンシップ」などを活発に行います。

サークル活動は日本の大学にもあるので想像がしやすいと思いますが、編入を目指す学生は部長や秘書などの役員になる点がポイントです。

単にサークルに参加するだけでは、アピールポイントにならないので注意しましょう。筆者が通った大学で学生たちが一番力を入れていたのは、成績優秀者のみが加入できるHonor Society(優等生協会)でのボランティア活動です。Honor Societyでボランティア活動をすると4年制大学へ提出する成績表に記載されますし、一緒にボランティア活動をすることで現地の友人もできます。

コミュニティ・カレッジをわずか1年弱で卒業し、南カリフォルニア大学(私立の名門大学)に編入した知人はこのHonor Societyで部長を務めていました。
別の知人は生徒会長とサークルの副部長を務め、コロンビア大学に編入しました。
サークルまたはHonor Societyで役員になること、ボランティア活動をすることは有名大学への進学に必須と言っても過言ではないので、コミュニティ・カレッジから難易度の高い大学への進学を考えている場合は、ぜひ良い成績を収めつつ課外活動をしてみてください。

そして4年制大学へ進学した後は、多くの学生が企業でインターンシップを開始します。

日本の大学生には新卒採用という切り札がありますが、英語圏、特に北米の企業は、新卒という採用枠がなく即戦力の人材しか雇いません。
仕事の募集要項を見ると、「最低2年以上の業務経験がある方のみ」というような内容ばかりが出てきます。
そのため、大学を卒業するまでに業務経験がある即戦力になる必要があるわけです。

その手段が、専攻している学部に関係する企業でのインターンシップです。例えばコンピューターサイエンス学部生はIT企業でエンジニアとして、児童発達学部生はプレスクールのアシスタントとして働くことで経験を積み、大学卒業後に戦力として採用されるよう準備をします。
また、インターンシップ先で卒業後にそのまま正社員として採用される場合もあります。

進学や就職という将来に備える側面でサークル、ボランティア、インターンシップを上げましたが、3つとも交友関係も一気に広がるのでおすすめです。

人との交流

多種多様な人との交流

英語圏は移民や留学生が多いため、多種多様な人との交流が可能です。
語学留学では世界各国とから来た留学生とクラスメイトとして勉強することになりますし、ワーキングホリデーは職場で交流があります。

さまざまなバックグラウンドの人との交流に関して、語学留学、ワーキングホリデーとの違いが大学留学にあるとすれば、一生の付き合いになる友人を作りやすい点にあります。

語学留学やワーキングホリデーは1年以内で帰国する学生が多いですし、渡航タイミングと帰国タイミングもさまざまです。
一方大学の場合は、入学タイミングが近ければ、数年間一緒に大学に通うことになるので長い付き合いになることもしばしばあります。

地方よりも大都市の方が留学生は多いので、国際的な交友関係を築きやすい傾向にありますね。
個人的な経験ですが、筆者は大学のサークルや授業で外国の友人ができ、今でも交流が続いています。
インドネシア人の友人の結婚式はバリ島で、韓国人の友人の結婚式はソウルで参列しました。

また、アパートでルームシェアをした時にヒンドゥー教でヴィーガンのインド人、イスラム教でベジタリアンのパキスタン人、ユダヤ系フランス人と暮らしました。
それぞれの人生観、宗教観、食事の制限や、若者として葛藤している姿を見て、英語圏以外の文化を知る機会にもなり、学ぶことが非常にたくさんありました。

また、大学で韓国人の親しい友人ができたことで韓国の文化に興味を持ち、その大学で韓国語を履修しました。
韓国語クラスのクラスメートは家では韓国語を話す韓国系アメリカ人2世が8割だったので授業についていくのは大変でしたが、苦労した分、今では日常韓国語会話が話せるようになりました。

移民も留学生も多い英語圏の大学という環境だからこそ、こういった思いもよらない副産物を手に入れることがあります。

ネイティブスピーカーとの交流

語学留学に関しては、先生こそネイティブスピーカーですが、世界各国から来たクラスメートが交流の大部分を占めます。
ワーキングホリデーは、日本語を使わない職場で働くことでネイティブスピーカーと交流をする機会が増えますが、日本語を使う日本職レストランなどで働く方が多いようです。

 一方、大学留学はむしろネイティブスピーカーと交流する毎日です。

特に、大学のクラスメートのほとんどがネイティブスピーカーなので、クラスでディスカッションしたり、チームを組んでプレゼンを発表することが頻繁にあり、これ以上に英語を学べる環境はないと言えるでしょう。

さいごに

いかがだったでしょうか?

大学での正規留学はかなりの英語上級者でないと挑戦すらできません。しかしそれゆえに得られるものは果てしないので、チャレンジする資格のある方はぜひしていただきたいですね。