【2022年】留学先選び ~アイルランド編~

はじめに

みなさんこんにちは
英語学習の調子のほうはどうでしょうか?

最近はコロナを抑えながらも徐々に留学に出る人が増えてきていますね。
1年ほど前に留学を断念せざるを得なかった人も再チャレンジしているのかもしれません。

留学しようと思い立った際に最初に考えることは「どこの国に行くか」です。
今回はその留学先選びのアイルランド編をご紹介します。
※アイルランドに滞在歴のある方に執筆いただきました。

気候

地域差が少ないので、好きな都市を選びやすい

アイルランドの気候区分は大きく分けて以下の3つに分けられます。

東部:ダブリン
南部:コーク
西部:ゴールウェイ

南部や西部の方は雨が多い地域ですが、日本と比べれば年間を通して雨は少ない国で、特に4月から7月は降雨量がかなり少なくなります。

また、短時間降雨のため、丸1日ずっと雨になる日はほぼありません。そのため、雨の日でも折りたたみ傘やレインコートで充分なのは長期留学する上ではポイントが高いですよね。

アイルランドの特徴としては、地域による気候差はほぼないので、気候条件に左右されることなく、好きな都市に留学することが可能です。

春(4月から5月)

最低気温は5~9度、最高気温は13~15度程。日照時間は日本とほぼ同じですので、1日のリズムとしては日本と同じ感覚で大丈夫です。

夏(6月から8月)

たまに20度後半まで上がる日もありますが、基本的には暑くても20度半ばまでしか気温は上がりません。

白夜に近い状態で、夜10時過ぎまで明るいので、屋外アクティビティに最適です。

過ごしやすい気温+一日の行動時間を長く取れるので、留学には最適な時期と言えます。

秋(9月から11月)

最低気温は5〜10度、最高気温は10〜15度程となります。

まだ明るい中で通学できる時期です。

冬(12月から3月)

メキシコ湾流のおかげで高緯度の割には温暖で、氷点下になることはまずありません。

平均で最低気温2度、最高気温7度くらいです。3月下旬には最高気温が10度程度になります。

冬は実際の気温よりも寒く感じる

最低気温2度、最高気温7度の冬なら東京と大差はないですが、アイルランドでは気温よりも寒く感じます。

その理由は2つ考えられます。
・日照時間が短いから
・日の当たらない時間が長いから

アイルランドは高緯度ゆえに、冬の朝は8時台からようやく薄明るくなります。また午後4時台には日没となるので、通学は薄暗い中での登下校です。日光の当たらない中での登下校は、気温よりも寒く感じます。

また、アイルランドではフラットでも一軒家でも、欧米で人気のセントラルヒーティングという暖房器具が多く設置されています。

大元1か所で温度設定し、それを各部屋へ送り込むシステムですが、ホームステイ先の設定温度が低めのだった場合は、自分の部屋だけ暖房を強くする等ができないので、普段から寒がりな方は少し辛い思いをすることがあるかもしれません。

治安

日本では馴染みのない”ギャング”がおこす事件に巻き込まれる可能性がある

ギャングとは、非合法的手段・暴力的手段で収入を得るために活動する人達の集団です。

ギャングが起こす犯罪の種類は、小さないたずら程度のものから恐喝、乱闘、強盗、薬物の密売、銃器取引、銃撃、殺人と幅広くあります。

それぞれのギャングには活動拠点があり、ギャング同士の抗争の原因は主に勢力争いや報復です。

以下では実際に起きた事件を紹介します。

・2021年9月28日
ダブリンのパーネル・ストリートで20人ほどのギャングがルアスという路面電車に乗り込み、別のギャングを攻撃しました。場所は繁華街のオコンネル・ストリートの北端です。

・2021年5月
観光名所のマラハイド城があるマラハイドエリアの路上でギャング少年同士の乱闘が起きました。

・2016年
ダブリン北側のドラムコンドラ地区にあるリージェンシーホテルで銃撃殺人がありました。原因はスペインで射殺されたハッチの仲間の報復です。

少し怖くなったかと思いますが、アイルランドという国が特別危険な国というわけではありません。
しかし、実際にこういう事件もあるということを心にとめて生活してほしいと思います。

建物の外壁に埋め込まれたATMが多く、スキミングや盗難が多い

ATMは銀行やショッピングセンターだけでなく、屋外の道路沿いの道にたくさんあります。

道のATMは建物の外壁に埋め込まれたタイプで、駅の券売機のような見た目をしています。
背後を確認することが難しく、不審者や不審車両に気付くのが遅れてしまいますので、一人の時にはできるだけ使用を控えることをお勧めします。

盗難だけでなく、人の多い場所や時期を狙ったスキミングも多々発生しています。

費用

物価は高め、ハウスシェアがオススメ

アイルランドは税金が高く、結果的に物価は高めと言えるでしょう。

都市別で比較すると
・ダブリン   :高い
・コーク    :少し高い
・リムリック  :少し安い
・ゴールウェイ:安い

アイルランド留学で特に負担となるのは家賃です。
キッチン・リビング・トイレ共用のシェアハウスはダブリン・コークで月6万以上、リムリックとゴールウェイでは4万5千円程度になります。

アイルランドではどの地域でも光熱費や通信料込みの物件が多いので、少しお得に感じられるかもしれませんね。

ホームステイや学校の寮以外での滞在先を探すときに、何も伝手がない場合は、”Daft.ie”や”Rent.ie”を活用してみてください。

夏は航空運賃がかなり高額になるが、他の主要留学先と比べると比較的安い

アイルランドは日本からの直行便がないため、アジア・中東・ヨーロッパのどこかで乗り継ぎになります。

乗り継ぎ回数や時期で航空運賃は大きく変わり、往復で6万円~20万円です。夏は人気なので、それ以外の時期と比べるとかなり高くなります。

しかし最安値で見てみると、他の英語圏と比べて距離的に遠い割には安いので、適切な出発/帰国時期を見極めることが大切です。

学生割引を活用しよう

アイルランドでは”Student Leap Card”という学生証を作ると、公共交通機関の定期券や、衣料品、飲食店、映画館でも割引があります。
割引率はお店で10~30%、公共交通機関の定期券では15~65%の割引です。

国立の博物館や美術館は無料ですので、暇な日は日本人以外の友達と通ってくださいね。

カードの裏に割引適用になるお店や公共交通機関が載っていますので、チェックしておきましょう。

安いお店を探して自炊しよう

留学生にとって、外食費の負担も無視できません。日本のように500円ランチなどはほとんどなく、ラーメンでも2千円程度かかりますので、留学生は自炊力が節約のカギになってきます。

肉の価格は日本とほぼ同じか少し安いくらい。野菜は基本的に日本より安く、じゃがいも・玉ねぎ・人参といった根菜類は日本の半額以下で売られています。

LIDL(リドル)やTESCO(テスコ)という大型スーパーであれば食品も日用品も安いため、近所にあればラッキーですね。(醤油等の日本の調味料は、アジア食料品店の方が格段と安く販売されていることが多いですが)

また、自炊において水道が無料なのは大きな魅力です。

人種・人柄

おしゃべり好きが多いので会話練習の機会が多い

アイルランド人はビールと音楽、そしておしゃべりも大好きで、気さくです。

電車やバスの待ち時間に一緒だった人や座席で隣り合った人、買い物に行ったお店のスタッフが気さくに話しかけてくるのは現地では普通のこと。

パブ文化があり、そこでは知らないアイルランド人が話しかけてくるので、初めてでも気軽に1人で行くことが可能です。
パブは小さな町にもありますので、留学するエリアに関係なく行くことができます。

このように見知らぬ人に話しかけられる頻度が高いアイルランドでは、コミュニケーションの機会が豊富なのです。

また、過去に使われていたアイルランド語はイエス・ノーに該当する単語が存在しないという背景から、英語が主流になった現在でもYes/Noではっきり意見を主張することが少ないと言われています。

個人差があるのはもちろんですが、否定の場合に遠回しな言い方で気を遣うあたりは、日本人と近いのかもしれませんね。

日本人のようにきっちりと約束を守る意識は少ない

アイルランド人は日本人と比べておおらかで、日本人のようにきっちりとしている人が少なく、期限も意識しない人が多いです。(アイルランド人が、というよりは日本人が特別なのかもしれませんが。)

ビジネスにおいて、特にそういう傾向がみられるようです。

バスに関しても、バス停で待っているだけでは停まってくれません。手を横に出して、運転手さんに乗ることをアピールする必要があります。
バスが定刻より早くバス停に着いた場合は、定刻まで待っていてくれるとは限らないので、日本のように時刻表があてにならないことが多々あります。

さらには道路の信号無視も日本と比べると多いようですね。

日本に住んでいる我々には非常識に感じられるかもしれませんが、これは良い悪いではなく、アイルランドという国と人の習慣/価値観です。
ストレスを感じるかもしれませんが、これも留学にて得られる1つの学びなので、自分も順応する努力をすることをお勧めします。

アクセント・学習環境

リズムや発音はかなり独特で慣れるまでは苦労する

アイルランド人は英語圏の人でも早く感じるほど早口で、BGMが流れるような軽やかな口調です。特にゴールウェイやコークの地域の方に強いアクセントがあります。

発音のイメージとしては”Dublin”が”ドブリン”、一人称の”I”は”オイ”、”Irish”は”オイリッシュ”というように聞こえます。

このようなアイルランド独特の発音は日本人が触れてきた英語と離れているため難しく感じますので、敷居はかなり高いです。

語学学校の先生はイギリス英語でゆっくりレッスンをしてくれますが、地元の人は日本人にとって不慣れなスピードと発音で、会話が難しく感じることもあるでしょう。

政府公認の高水準の学習環境

アイルランドは教育熱心なお国柄で、ACELSという政府管轄の教育水準認定団体があります。

ACELSは定期的に各学校が適切な語学教育を行っているか審査を行っていますので、アイルランドの語学学校はどれも質の高い学習環境が整っています。

また、高水準の環境は他の英語圏の先生にも人気で、CELTA1やDELTA2という英語教師の国際資格取得のためにアイルランドを訪れる先生も多くいます。

中小規模の語学学校が多い点も生徒・先生双方に人気です。
学校の規模が小さい方が生徒と先生の距離が近く、接する機会が多いのでお互い勉強になります。

政府公認の語学学校を選べば、基本的に失敗しないというのがアイルランド留学のメリットです。

※1Certificate in English Language Teaching to Adults:イギリスのケンブリッジ大学英語検定機構が授与する英語教授の国際資格。大人向けに第二言語として英語を教える。
※2 Diploma in English Language Teaching to Adults:最低2年の英語教師としての実務経験がある事が資格取得の条件とされている大人向けの第二言語として英語を教える資格。

ギネスビールを使用した料理や世界的バリスタのお店を楽しめる

アイルランド料理のレストランではじゃがいも料理はもちろん、羊肉と野菜を煮込んだグレイビーソースやシチューが定番です。
じゃがいもは肉料理と一緒に出てくることが多く、マッシュポテトやフライドポテトが多いです。

ギネスビールを使って味に深みを出す方法も人気があります。
パブで食べられる、ギネスビールを隠し味にしたシチューや、ギネスビールでふんわりさせたフィッシュアンドチップスなどはアイルランドならではですね。

都市部ではヨーロッパ各国のレストランやインド料理、タイ料理、韓国料理など、世界各地のレストランがあります。もちろん日本料理も至るところに存在しますので、食からくるストレスはそれほど心配しなくてもよいと思います。(マイナー地方はその限りではないですが。)

メジャーではありませんが、アイルランドでもバリスタ留学は可能です。世界的なバリスタのコリン ハーモンさんのお店もあります。

一般のスーパーで高品質の乳製品が買える

アイルランドでオススメできるものと言えば、乳製品です。

1年間のほとんどの時期で自然放牧していることによって、牛や羊がとても健康に成長します。
そのため高品質な乳製品・癖の少ない羊肉を取ることができ、これらは一般のスーパーに出回っているので、留学生でも日常的に堪能することができます。

また、リムリック州で作られる”アイリッシュポーター”というチーズがあります。これはアイルランド特産の黒ビール”ポーター”が練り込まれているもので、知る人ぞ知るアイルランドの名産ですので、幸運にもこの記事を読んだ方はぜひ買い求めてくださいね。

近年、魚介類の人気も出ており、鮭や鱈はもちろん、牡蠣にムール貝等も一般のスーパーで買うことができます。
(筆者は特にスモークサーモンが好きです…)

また、アイルランドでは牡蠣を生食します。ゴールウェイでは毎年秋に獲れたての牡蠣を堪能できる「国際オイスターフェスティバル」が行われていますので留学期間と被っていたらぜひ参加してみてください!

日本人の割合

日本人留学生はかなり少ないので、英語に集中しやすい

筆者の肌感覚では、日本人スタッフの在籍しない語学学校で年間を通して日本人は0〜5%程、日本人スタッフの在籍する語学学校では約8%で、他の主要な留学先(アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア)と比べると少ないということはアイルランドを選択すべき大きな理由の1つになります。

他国の留学生はヨーロッパやブラジルの生徒が多く、次に多いのが韓国・サウジアラビア・チリ・メキシコ等となります。

夏に日本人が増える傾向があるので、冬を選ぶと「日本人は私一人」という環境を実現するのはそう難しい事ではありません。

近年のアイルランドはアフリカと東欧の難民を受け入れているため、街ではアイルランド人とは違う見た目の人もいます。

日本語でコミュニケーションできる場所が少ない

日本人が少ないのは学校だけでなく街中でも然り。

現地在住の日本人も少ないので、日本人コミュニティは発達していません。場所によっては頼れる日本人を探すのに苦労することさえあります。

これは懸念点にもなるかもしれませんが、「日本語に甘えてしまいそう」な人にとって、アイルランドは必ず視野に入れるべき選択肢です。

まとめ

いかがだったでしょうか?

英語留学と言えばアメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリアが選ばれることが多いですが、アイルランドも非常に良い選択肢だということを理解いただけたかと思います。

こんな人にオススメ
①Britishのアクセントを学びたい
②とにかく日本人の少ない場所で英語学習に没頭したい
③ゆっくりと時間が流れているのが好きだ

ネックになるのはIrishのアクセントですが、慣れれば問題ないありませんし、少し自分もそのアクセントで話せるようになったら、かっこいいですよね!

ぜひ検討してみてくださいね!